2025年5月の実質賃金が前年同月比で2.9%減少したことが、厚生労働省の毎月勤労統計調査速報で明らかになった。この減少は5カ月連続で続いており、家計への影響が深刻化している。現金給与総額(名目賃金)は前年同月比1.0%増の30万141円となり、41カ月連続でプラスとなったが、物価の上昇ペースがそれを大きく上回っている。
現実には、給与が増えていると感じている人は少ない。毎日の買い物で感じる物価高、特に食品や日用品の値上げが家計を圧迫している。米やパン、卵、乳製品などの生活必需品は軒並み値上がりし、スーパーでは「特売日でも以前の価格に戻らない」と嘆く声が多い。家計簿をつけている主婦は「月末になると食費が足りなくなることが増えた」と話す。
厚生労働省は「給与の増加が物価高に追いついていない。今後の動向がどうなるか注視していく」とコメントしている。専門家は、企業の賃上げが一部大企業にとどまり、中小企業や非正規雇用では十分に波及していないことが要因の一つだと指摘する。春闘での賃上げ率は過去最高水準と報じられたが、実際には物価上昇のスピードがそれを上回っているため、生活実感としての「豊かさ」は感じられない状況が続く。
家計の工夫と今後の見通し
家計への打撃は、食費だけでなく光熱費や家賃、教育費にも及んでいる。電気・ガス料金の値上げが続き、エネルギーコストの上昇も無視できない。夏場の冷房使用増加で電気代が跳ね上がる家庭も多く、「節電を心がけても請求額が増えている」との声が聞かれる。
こうした状況を受け、消費者の節約志向は一段と強まっている。外食を減らし、まとめ買いや値引き商品を狙う家庭が増加。ネットスーパーやポイント還元サービスの利用も広がっている。子どもの習い事やレジャー費を見直す家庭も多く、「楽しみより生活防衛が優先」という意識が広がっている。
一方で、賃金の伸びが今後どのように推移するかは不透明だ。専門家の間では、6月・7月は夏のボーナス増加で一時的に実質賃金がプラスに転じる可能性があるが、8月以降は再び減少に転じるとの見方もある3。物価上昇率が年末にかけて鈍化する可能性も指摘されているが、賃金の伸びが十分でなければ、家計の厳しさは続く。
政府は物価高対策として、低所得世帯への給付金やエネルギー補助などを打ち出しているが、抜本的な解決には至っていない。企業の賃上げ努力や生産性向上、雇用の安定化が今後の課題となる。
現場の声としては、「これ以上の値上げは耐えられない」「将来が不安」といった切実な意見が多い。生活防衛のために副業を始める人や、家計相談窓口に助けを求める家庭も増えている。物価高と景気悪化が直撃する中、家計を守るための知恵と工夫が今まで以上に求められている。



